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パニック症の症例
【主訴】 : 動悸、頭痛
【患者】 : 50代 男性
【現病歴】 : 来院5年前から上記症状が出始める。特に車の運転中にひどく、渋滞や高速道路では、安定剤が手放せない。車を頻繁に運転する仕事だったが、発症後、事務仕事に異動。
不安感は、ほぼ常にある。1,2年ほど前から頭痛も悪化し、週に一度程度でる。
【随伴症】 : 不眠、腓骨神経麻痺、首・肩こり
【既往歴】 : 20才 バイクで事故。車と衝突し飛ばされる。
35才 左腓骨神経麻痺。朝、起床時に突然発症。1ヶ月間ほどの治療で改善するも、違和感は残存し、いまでも常にある。しびれは時々出る。
40代 不眠、首・肩こりを慢性的に自覚するようになる。
50才 脂肪肝。アルコールは飲まない。
【その他】 : 早朝から出勤するが、スマホなどに時間を取られ横になるのも遅い。
身長167、体重70。BMI25.1
【所見】 : 腹部全体が暖かく、柔らかいが肥満気味。恥骨(下腹部)付近を押すと強い痛みを訴える。頸椎(首)、胸椎(背中の中央)にも強い圧痛。肩関節や顎関節周囲にも強い圧痛が診られる。
【治療】
《 初診 》 初診時は、下腹部の痛みが強いので、腎積腎虚症として積聚治療の基本治療を行う。補助治療として、圧痛の強かった胸椎と顎関節に、補助的に鍼を加える。
《 2診目(初診時から7日後) 》 初診以降もあまり良くない状況が続く。車は2キロほど運転したが、不安感、動悸が強かった。頭痛は一度出た。
初診時と同様に積聚治療の基本治療を行ない、その後、頸椎の圧痛部分に補助的に処置を行なう。その後、胸骨、腹部にも補助治療を加える。
《 3診目(初診時から14日後)以降 》 2診目以降、頭痛は、出なくなる。不安感、動悸は、運転する機会も少なくなり、3診目では判断できなかった。その後何度か長距離を運転する機会があったが、2診目以降運転時の不安感もなく、薬無しでも運転できるようになる。以前のような動悸も出なくなるが、軽いドキドキ感は2ヶ月間に1回程度出ることが続く。
3診目以降は、右肩の痛み、違和感、不眠を主訴として治療を行なう。治療は、これまでと同様に基本的な治療を行なった後に、必要に応じ、胸椎や胸骨、腹部などに補助的な治療を行なう。肩の痛みは3ヶ月ほどかかり、回復。睡眠は、以前より眠りが深くなる。また、本人も少しでも早く就寝するようにしてもらい、現在では、6時間ほどはよく寝れるようになる。
【考察】
20才の頃の自動車との正面衝突で飛ばされ頸椎などに強い衝撃を受けています。西洋医学的には回復していても、東洋医学的には回復しきらずに、30年ほど経過して、このような症状を呈する様になったと思われます。
これまでは、そうした傷があっても無理が効いていたとしても、スマホなどに時間を取られたり、浅い睡眠などで慢性的な睡眠不足が続いていたために、身体の限界を超え発症につながったと思われます。もちろん加齢もそこに大きく関与しています。
積聚治療では、そうした傷が、長い年月をかけて、徐々に生命力の低下(冷え)をもたらし、こうした様々な症状を呈するようになると考えています。
この方は冷えの原因となる古傷もすぐに突き止めることが出来、鍼灸治療を開始後すぐに安定して回復することができました。パニック症の方は、治療が比較的長期に渉ることが多くなりますが、諦めずにお早めに鍼灸治療をお試しください。