不安症とは?

 不安自体は、健康な人でも感じる正常なものです。不安を感じることにより、何かが気になり何をしていても頭から離れないといった事が、時にはあることでしょう。そうした身体の機能があるおかげで、人間は対策を立てたり、大きな事故や失敗を避けたりすることが出来ます。

 しかし、その不安が過剰になり、日常生活に支障をきたすようになるなら、不安症かもしれません。不安症は、以前は、ノイローゼとか不安障害とも呼ばれていました。「障害」と聞くと「治らない」と感じる方もいるので、最近では、不安「症」と呼ばれるようになっています。今後も時間の経過と共に呼び名が変わることもあることでしょう。

当鍼灸院へ来院する前に

 不安症では、精神的な不安感から、こころだけでなく身体にも様々な深いな症状をもたらします。

 よく見られる症状には、動悸や呼吸困難もあります。インターネットで容易に沢山の情報に接することが出来るので、「自分は○○病だ」と自己診断する方もおられますが、違う病気が隠れていることもあります。動悸や呼吸困難は、不安症を始めとしたこころの病気でよく見られますが、循環器や内分泌の問題でも現れます。安易に自己診断せず、まずは、きちんと病院で検査をしてください。

 また、インターネットやSNSの使いすぎで、不安感を募らせてしまう方が多く見られます。便利なものですが、誤った情報や偏った情報も多く見られます。そのため不安感が強いなど、こころや身体が悲鳴を上げているときには、「毒」にもなってしまいます。画面から目をそらし、キレイな花々や可愛い生き物に目を向けたり、睡眠時間をしっかりととり、こころと身体を休ませてあげてください。

 また、カフェインの取り過ぎが原因であることも多くみられます。「不安感が最近強いな〜」と感じたら、カフェインを取り過ぎていないか、気をつけてみましょう。カフェインは、コーヒー、紅茶、お茶だけでなく、ココア、エナジードリンク、眠気覚ましのガムなど様々な物に含まれていますので、良く口にする物に注意してみてください。

不安症の分類

 不安症と一口に言っても、その中には様々な病気が含まれていまので、その一部を簡単に説明いたします。

  

・パニック症(障害)

 

 パニック症は、身体には異常が無いのに突然強い不安や恐怖、動悸、呼吸困難、めまいなどに襲われます。

 パニック症の突然、そして繰り返し起こるそうした症状は、死ぬのではないかと感じるほど強いものです。発作の起きていないときでも、また起こるのではないかと考えてしまい(予期不安)、日常生活を送るのが難しくなります。

 また、以前、発作の起きた場所や状況などを避ける(回避行動)ようになり生活に支障をきたしてしまいます。具体的には、すぐに逃げられない渋滞した車の中や高速道路、すぐに助けを求められないエレベーターやトンネルなどの閉鎖空間、人混み、一人での外出などがあります。

 詳しくは、パニック症のページをご覧ください。

・社会不安症(社会恐怖)

 社会不安症は、対人恐怖症とか赤面恐怖症とも呼ばれていました。人前で話をするなどの注目を集める場面で強い不安や恐怖を感じてしまい、人前で何かをすることを過剰に恐れる病気です。また、そのような状況を回避するようになり(回避行動)、学校や職場に行けなくなってしまうこともあります。

 社会不安症は、人の注目を浴びるような場面で、赤面、どもり、手の震え、手足の発汗、動悸、顔の引きつりなどの症状が気になるようになります。また、恥をかいたらどうしよう、失敗したらどうしようと過度に恐れるようにもなります。

 性格の問題とも思われがちなため治療せず、引きこもってしまうなど社会生活に大きな影響が出てしまう事も多々あります。治療可能な病気なので早めに治療を行なうようにしてください。

・強迫神経症(強迫性障害、強迫性不安症)

 誰であれ普通の人は、自分の身体の汚れや外出するときの戸締まりなど生活の中で様々な事柄を心配し、気をつけるものです。でも、その心配が過剰になり、日常生活や社会生活に支障が出るようなら、強迫神経症かもしれません。

 強迫神経症では、戸締まりなど特定の物事が気になって仕方が無い、頭から離れないという強迫観念と何度も確認をしに戻るといった脅迫行為が見られます。

 具体的には、戸締まりの他、火の元の確認、何度も手を洗う、ドアノブなどを触れなくなる、誰かに危害を与えてしまうかもしれないという不安、特定の数字に過剰にこだわる、特定の手順で物事を行なわないと落ち着かないなど様々な現れ方をします。

 ある程度は誰しも感じる事柄なので、ちょっと神経質なだけなのか、それとも病気なのか判断に悩むことも多いかもしれません。何度も何度も確認するため約束に遅れたり、疲れ果ててしまうなら、ためらわずに専門家へご相談ください。また、自分では問題ないと感じていても、アルコール消毒を何度も強要するなど身近な人を巻き込んでいることもあります。家族など身近な方が困っている様子なら治療が必要な状況かもしれません。

・全般性不安症(全般性不安障害、不安神経症)

 不安を感じる事は、誰にでもあることです。しかし、全般性不安症の方は、明確な理由がないのに不安を感じたり、不釣り合いなほど過剰に不安を感じたりします。

 これまでに記した上記の不安症と違い、全般性不安症の方の不安は、慢性的で長期にわたり持続するものです。また、不安の対象も特定の事柄に限定されず、様々な事柄に対して不安を抱くこと事が特徴です。また、不安だけでなく、睡眠障害や疲れやすい、集中できない、筋肉が緊張するといった症状を併発します。

不安症の治療

 病院での不安症の治療は、薬物療法と認知行動療法が用いられます。

 薬は、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などが使われます。また認知行動療法では、心と身体をリラックスさせる、苦手なモノや場所に少しずつ慣れさせていく、極端な考え方のくせを見直すといったことをやっていきます。こうした治療を通じてストレスを軽くし、不安や恐怖に対処できるようなサポートを受けながら、苦手なことに段階的にチャレンジして、自信を取り戻していきます。

 十分休養をとり、適度な運動も行いストレスをためないように心がけるようにすることも必要です。また、アルコールやカフェインなどの嗜好品の摂り過ぎは症状を悪化させるので注意してください。ネットの使いすぎにも注意が必要です。

 不安症には鍼灸治療も効果的です。当鍼灸院の治療は、全身調節をおこなって精神的な興奮や自律神経の乱れを鎮め、正常な身体の働きを取り戻していきます。色々と試した末に当鍼灸院へこられる方は多くいらっしゃいます。もっと早くから鍼灸治療を受診しなかったことを後悔する方もおられます。長い歴史を持つ東洋医学を一度お試しください。

 鍼灸治療には様々な流派が有り、鍼灸師毎に鍼灸治療の仕方が全く異なるといわれています。当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で鍼灸治療を施しております。積聚治療は、基本的に全身に鍼をやさしく接触させて行くことにより、治療を進めていきます。お悩みの症状が何であれ、全身の調子を整えつつ治療していきます。

 不安症には、上記のように様々な病気があります。しかし、積聚治療では、どんな病名・症状であれ、お身体の不調の原因は『冷え』にあると考えています。ここでいう『冷え』という言葉は物理的に冷たいというだけのことではありません。簡単に書くと生命力の低下です。鍼灸治療を施すことにより、身体を芯から温め、冷えを取り、痛みや不安、不眠等の症状をとっていきます。痛み止めなどで表面的に現れている症状だけを取る一時しのぎの対症療法ではなく、原因から取り除く根本からの治療を行います。不安症でお悩みの方は、お早めに鍼灸治療をお試しください。

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