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適応障害の症例

【主訴】  : 全身のモヤモヤ感、疲労感、眼精疲労
【患者】  30代 男性
【現病歴】 : 来院1年前から上記症状が出始める。半年程度たった後、病院で適応障害の診断。服薬、食生活、睡眠など自分でも気をつけたが、特に改善はしなかった。
【随伴症】 : なし
【既往歴】 : 10年ほど前にうつ病。10ヶ月ほど服薬治療で改善。以後は通院、服薬ともなし。
幼児期に遊具にて、左大腿部を刺傷
14才 右足首を骨折。
17才、36才 右足首を捻挫
27才 胸部の粉瘤を切除
1年前 コロナウイルスに感染
【その他】 : 5年前に子供を授かる。
定期的に運動もしていたが、コロナ禍のため2年前から出来なくなった。
【所見】  : 腹部全体が弾力が乏しく、堅く緊張している。恥骨(下腹部)付近を押すと強い痛みを訴える。頸椎(首)にも強い圧痛。
左大腿(太もも)部の傷跡と胸部の手術痕を押すと非常に強い痛みを訴える。右足首は、痛みは無し

【治療】
《 初診 》 初診時は、積聚治療の基本治療を行う。補助治療として、圧痛の強かった左大腿部に灸を加える。
《 2診目(初診時から2日後) 》 初診の治療後、モヤモヤ感は大分薄れたとのこと。初診時と同様に積聚治療の基本治療を行ない、その後、頸椎の圧痛部分に補助的に鍼を行なう。
《 3診目(初診時から5日後)から6診目(初診時から27日後) 》 モヤモヤ感は、更に減少。疲労感も軽減し、子供と一緒にタケノコ掘りにいく元気も取り戻す。服薬も睡眠導入剤以外は断薬する。この間の治療は、積聚治療の基本治療を行なった後に、必要に応じ、背中にお灸を行なったり、足や腹部のツボに鍼を加える。
《 7診目(初診時から40日後)から9診目(初診から72日後) 》 モヤモヤ感やメンタルの不調などはなく、安定した状況が続くが、首、肩のこり、痛みや目の疲れは持続する。9診目の頃から仕事に復帰。一週間の時短勤務の後、以前と同様フルタイムに移行する。基本治療の後、背中に灸を加えたり、特殊な鍼治療を加えたりする。
《 10診目(初診時から93日目)以降 》 仕事が忙しく、睡眠時間を削る日々で疲れがひどいときもあったが、精神的には安定し、モヤモヤ感などの再発も無し。時により腹痛が見られる程度で、仕事は継続して行けている。この間の治療は基本治療の後、必要に応じ背中や大腿部の傷跡などにお灸を加える。
 この後も月に一度程度のペースで身体のメンテナンスを行なう。

【考察】
 今回、適応障害を発症の少し前にコロナウイルスに感染したこと、小さいお子さんや奥さんに感染させてしまうのではと言う心配、そして仕事が非常に忙しい日々が続いていたことなどが引き金になったと思われます。
 しかし、コロナ感染症が治った後も回復する様子が診られなかっったこと、また10年前にもうつ病にもなっており、それだけが原因とも思えない。(適応障害では、ストレス要因が解決したら早い段階で回復に向かうことが多い)
 問診や身体所見から幼児期の大腿部の怪我、そしてそのときの衝撃が首や背中にも影響し、回復しきっていない様子が診て取れた。積聚治療では、そうした傷が、長い年月をかけて、徐々に生命力の低下(冷え)をもたらし、こうした様々な症状を呈するようになると考えています。
 この方は冷えの原因となる古傷もすぐに突き止めることが出来、鍼灸治療を開始後すぐに安定して回復することができました。ぜひ、適応障害の際はお早めに鍼灸治療をお試しください。


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