認知症を鍼灸治療でケア

誰もがいずれは迎える老い

 高齢化社会を迎え、社会全体で認知症の問題・対策を考えなければならない状況になっています。本人だけの問題ではなく、家族や地域社会の負担を減らすためにも対策が急がれています。

認知症は病名ではなく、症状

 認知症は正式な病名ではありません。かつては「痴呆症」という名称が使われていましたが、物忘れをはじめとした認知症状の低下が見られる状態に対して使われている言葉です。認知症は病名ではなく、症状の名称です。

認知症もいろいろ

 認知症は、病名ではなく症状なので原因となる病気にはさまざまな種類があります。おもに脳の機能に問題を引き起こす病気となりますが、大きく6種類に分類できます。

【アルツハイマーやレビー小体等の変性疾患】

 まず変性疾患と呼ばれるタイプ。アルツハイマー病を筆頭に運動ニューロン疾患、レビー小体病、パーキンソン病等が分類されます。認知症のうち約半数は、このアルツハイマー病です。

【脳血管障害】

 いわゆる脳卒中に分類される病気で、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳梗塞後遺症として認知症が発症することがあります。脳血管型は、認知症のうち約2割ほどを占めています。

【脳外科的疾患】

 こちらは脳腫瘍をはじめ慢性硬膜下出血、脳外傷、正常圧水頭症などが当てはまります。

【感染症】

 一般的によく知られている脳炎、髄膜炎のほか、エイズ脳症や神経梅毒などの性感染症も脳に影響を及ぼし認知症を引き起こします。

【内分泌・代謝・中毒性疾患】

 甲状腺機能低下症やビタミンB1欠乏症、ビタミンB12欠乏症、低血糖症、薬物中毒など。意外な病気が含まれているのが特徴といえます。

【その他】

 シェーグレン症候群やベーチェット病といったやや特殊な病気が該当します。

認知症で見られる症状

 症状としてはやはり物忘れが第一に挙げられますか、とくに目立つのが昔のことは詳細に覚えているのに最近のことが思い出せないケースです。
 初期症状として前日の食事の内容が思い出せない、そもそも食事をしたかどうかも思い出せない、そのため、食事を食べさせてもらえないと言った被害妄想を語るようになることもあります。
 また自分の身体の変化を感じ、それまでは活発だったのに引っ込み思案になることもあります。
 さらに進行していくと場所や人の識別が困難になり、言葉の意味がよく理解できなくなる、昔の事も思い出せなくなるようになります。
 また、認知症では状況の変化に順応しづらくなり、いつもと違った事柄が起こると混乱をきたすようになります。そのため、悪質な詐欺にあったり、突然感情を爆発させるようにもなります。
 近年増加傾向にあるレビー小体型では、幻覚が見られます。

認知症の治療

 さまざまな病気によって引き起こされるため、治療方法ももちろん多岐にわたります。また、原因の病気によって治療が見込めるものと難しいものがあります。
 以前は治療が困難とされていたアルツハイマー病では治療薬が効果を挙げるようになっています。
 ただ、どの病気であれ根本から完全に改善することは難しく、症状の進行をできるだけ遅らせることを目標にします。そのため、他の病気とも同様ですが早期治療が肝心です。

日常生活に気をつける事が大事!!

 認知症のうちほとんどの部分を占めているアルツハイマー型や脳血管性認知症は、生活習慣病との関連があるとされています。つまり、生活習慣に気を配っていれば多くの認知症を防止することができます。
 例えば、野菜や果物、魚介類の豊富なバランスの良い食事を心掛けることが大事です。サプリ等の健康食品に頼るのではなく自然な食材から取るように心掛けてください。
 散歩など定期的な運動をすることももちろん大事です。普段の生活をきちんと管理すことが認知症の予防につながります。もちろん、タバコや夜ふかしやお勧めできません。介護をする家族のことを考えて、頑張って健康的な生活を心掛けてください。
 口腔内の環境を良い状態に保つ事も大事です。歯を健康に保ち、よく噛んで食事を摂る事も認知症の予防につながります。歯が抜けてしまったままの状態や合わない入れ歯はよくありません。よく噛んで美味しく食事を頂くようにしてください。

認知症には鍼灸治療も効果的

 これまで述べたように完治が難しい認知症ですが、鍼灸の分野でも治療が積極的に行われるようになっています。
 鍼灸治療を行うことにより、認知機能が改善した例はたくさん見られています。そのため、医師の学会である、早期認知症学会などでも鍼灸の効果に関する研究や発表などが扱われています。
 当鍼灸院も携わっていたパーキンソン病などの研究では治療効果を測るひとつの尺度として認知機能も見ておりました。その際に治療前に比べて着実に変化していく様子が客観的に数値として観察することも出来ました。必ずしも目覚ましい変化を見ることが出来る訳ではありませんが、認知機能テストをすると徐々に改善している様子を確認できました。
 ぜひ、鍼灸治療もお試し下さい。

当鍼灸院での治療

 鍼灸治療には様々な流派が有り、鍼灸師毎に鍼灸治療の仕方が全く異なります。当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で鍼灸治療を施しております。積聚治療は、全身に鍼を接触させて行って治療を進めていきます。どんな病気でも全身の調子を整えつつお悩みの症状を治療していきます。
 積聚治療では、認知症などお身体の不調の原因は『冷え』にあると考えています。ここでいう『冷え』という言葉は物理的に冷たいというだけのことではありません。簡単に書くと生命力の低下です。
 昔の何気ないケガなどが元となって身体に『冷え』が生じ、それがきちんと回復せずに時間の経過とともに冷えが広がり、その方の弱い箇所に症状が出てしまったと考えます。
 ですから、症状の出ている部位だけを治療するのではなく、全身的な治療を行います。そのようにすることにより、症状の本当の原因となっている『冷え』を取り除き、症状を緩和させていきます。
 認知症を少しでも改善するため、お早めに鍼灸治療をお試しください。


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