パーキンソン症候群

 パーキンソン症候群とは「パーキンソニズム」と呼ばれる症状を起こす病気全般に使われる名称です。その名称からも推測できるようにパーキンソン病もその中に含まれています。簡単に言ってしまえばパーキンソン病によく見られる症状に該当する病気全般の総称となるでしょう。

パーキンソン症候群の特徴的な症状は4つあります。

  1. 体の震え(とくに安静時)
  2. 筋肉のこわばり
  3. 動かしづらさ
  4. 姿勢の維持の困難(とくに前のめりになりやすいこと)

 これらの症状のうち通常2つ以上当てはまる状態をパーキンソン症候群と呼んでいます。


パーキンソン症候群には様々な病気がある

 パーキンソン症候群に当てはまる病気としては次のようなものがあります。

  1. 多系統萎縮症や大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺といった神経に異常がきたすことによって生じる病気。
  2. 脳炎や多発脳梗塞といった脳の異常によって生じる病気。
  3. 一酸化炭素中毒やマンガン中毒などによる大脳基底核の障害。

症状は多岐にわたります。

 パーキンソン症候群には様々な疾患が含まれますし、同じ病気でもどこの組織に発症するかによっても症状は異なります。
 それぞれ異なる症状がありますが、基本的な症状は上述の通りで、筋肉がこわばる事により手足を思うように動かすことができなくなってしまい、日常生活に様々な支障をきたします。
 手で物を掴んで動かしたり、箸や筆記具などの道具を使用する細かい作業が難しくなるといった症状から歩行障害、とくに前傾姿勢(前のめりの姿勢)になりがちで転倒のリスクが高まる点が挙げられます。認知機能も低下することがあります。
 自律神経反射がうまく出来ないためひどい立ちくらみがしたり、失神したりすることもあります。


 パーキンソン症候群は症状が少しずつ進行し、発症から10数年かかって寝たきりになってしまうことが多く見られます。しかし中には進行の早い方もいてほんの数年で寝たきりになる方もおられます。


 さまざまな病気が含まれているため、原因もひとつではありません。上記の一酸化炭素中毒やマンガン中毒の場合は比較的原因が分かりやすい部類に入りますが、神経の変性などはなかなか原因が掴めない状況です。パーキンソン病に関してはドーパミンの生成量の現象が深く関わっていることが研究によって明らかになっています。


パーキンソン症候群は薬が効きにくい

 治療法に関してはパーキンソン病と同様、薬物療法が中心的に行われます。
 ただパーキンソン病に比べるとパーキンソン病症候群の場合は薬の治療効果があまり現れず、そのことでパーキンソン病ではなくパーキンソン症候群であることが明らかになることもしばしばあります。


薬が原因で症状が出ることも

 薬物療法で注意が必要なのは抗パーキンソン病薬を含めた薬剤の影響でパーキンソン症候群を発症するケースもあることです。他にも向精神薬や抗うつ剤、消化器の薬、脳循環の改善薬などがパーキンソン症候群をもたらすリスクがあると考えられています。
 薬物が原因の疑いがある時には早めに中止することが第一の治療です。


鍼灸治療を併用することがおすすめ

 病院だけでなく鍼灸院での治療なども含む広い選択肢を試してみることも選択肢の一つです。
 鍼灸治療を行うことによってパーキンソン病と同様、振戦や歩行など様々な症状が緩和したり、薬の効果がこれまで以上によく出るようになります。
 当鍼灸院も参加させていただいていた鎌ケ谷総合病院での脊髄小脳変性症や進行性核上性麻痺に対する鍼灸治療の研究においても、歩行時のふらつきが軽減したり、足の運びがなめらかになったりして歩行速度が改善した方が何人も見られました。振戦が減少したり、病気に伴う憂鬱感が少なくなる等様々な効果も見られました。

鍼灸治療は薬の副作用の低減にも効果的

 パーキンソン症候群では薬の副作用で手足や体幹がクネクネと動いて静かにしていられない不随意(本人の意識と関係なく動いてしまうこと)運動が生じやすいですが、それも鍼灸治療を行うことにより治まる方が何人もいました。

家族の協力が大切

 パーキンソン病に比べて症状が緩和されたという本人の自覚が低い傾向があります。なぜかはわかりませんが、他人から見ても、検査数値を見ても明らかに改善しているのにそのことを自覚できない方がパーキンソン病よりも多くの割合でおられました。そのため継続治療にはとりわけご家族の協力が必要です。

長期的に継続した治療が必要

 数十年単位で見た研究報告はまだ目にしたことがありませんが、継続して治療を受けることにより少しでも長いあいだ自立した生活を送れるようになるかもしれません。

目指すのは完治ではなく症状の緩和と少しでも長く自立した生活を送ること

 パーキンソン症候群に対する鍼灸治療は、パーキンソン病と同様、病気を完治させるということを目的とするのでなく、症状を少しでも緩和し、悪化の速度を緩め、少しでも長い期間にわたり日常的な生活を自立して楽しめるようにすることを目指しています。
 少しでもご自分やご家族の負担を和らげられるよう西洋医学的な治療に加えて補完代替医療として鍼灸治療をご活用ください。

当鍼灸院での治療方法

 鍼灸治療には様々な流派が有り、鍼灸師毎に鍼灸治療の仕方が全く異なります。当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で鍼灸治療を施しております。積聚治療は、全身に鍼を接触させて行って治療を進めていきます。どんな病気でも全身の調子を整えつつお悩みの症状を治療していきます。
 積聚治療では、パーキンソン症候群などお身体の不調の原因は『冷え』にあると考えています。ここでいう『冷え』という言葉は物理的に冷たいというだけのことではありません。簡単に書くと生命力の低下です。
 昔の何気ないケガや生活習慣などが元となって身体に『冷え』が生じ、それがきちんと回復せずに時間の経過とともに冷えが広がり、その方の弱い箇所に症状が出てしまったと考えます。
 ですから、症状の出ている部位だけを治療するのではなく、全身的な治療を行います。そのようにすることにより、症状の本当の原因となっている『冷え』を取り除き、症状を緩和させていきます。
 症状だけを取る一時しのぎの対症療法ではなく、問題を生じさせてしまった身体の内部の原因から取り除く、根本からの治療を行います。
 パーキンソン症候群のつらい症状を少しでも緩和したい方、自立した生活を少しでも長く送りたい方は、鍼灸治療をお試しください。


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