新型コロナワクチン 打つ?打たない?

 新型コロナの感染者が再び明らかな増加傾向にあり、不安に思われている方も多いかと思います。そんな中、対策としてマスクや手洗い、三密を避けるなどと共にワクチン接種の重要性が高まっています。

 各自治体による集団接種や職域接種も行なわれ、先進国のなかではかなり遅いですが、少しずつ接種率も増加してきています。ワクチン供給のドタバタもあり、予約が取りづらくなっていますが、私も先日、個人経営のクリニックで一回目の接種を行なうことが出来ました。打ちたくてもなかなか打てない状況が続きますが、それと共にワクチンに対する誤った情報も多く出回り問題になっているようです。

 ワクチン接種は、経済を回しつつ、以前のような生活に戻る上でとても重要な要素となりそうですが、気になるのは様々な誤った情報。ワクチン接種で感染するとかウイルスをまき散らす、マイクロチップとか磁石、不妊・流産、遺伝情報の書き換え、動物実験の誤った情報・・・。悪意あるいは偏った善意からそうした情報を拡散したり、受け狙いでねつ造したり、営利目的で都合の良い部分だけを取り出したり、動機は様々ですが、新型コロナに関する誤った情報が多く見られます。

 間違った情報そのものは昔からありますが,インターネットが普及したことにより,正しくない情報にかつてないほどさらされているのではないでしょうか。

 私たちは自分の考えと合っている情報を信用してしまいがちです。自分にとって都合の良い情報だけを見てしまうのです。インターネット上では,沢山の情報があるため自分の好みにあった情報を見つけるのは容易です。しかし,私たちが見たいと思う情報が必ずしも正しいとは限りませんし、特定の情報ばかり見ていると考え方が凝り固まり、他の人にまで同じ考えを持つよう強要するようにもなるかもしれません。

 ワクチンを打つか、打たないかは個人個人が決定することで強要したり、されたりするものではありません。正しい情報を比較・考慮し、賢明な決定をしてもらえたらと思っています。

 新型コロナのワクチンを接種することにはどんなメリットがあるのでしょうか?

 ワクチン接種には、高い発症の予防効果が確認されています。感染予防、重症化の予防に関しては、まだきちんとした報告は見られていませんので断定は出来ません。しかし、接種の進んでいる国や地域の統計などを見る限り重症化予防にはかなりの程度の効果が期待できそうです。デルタ株に対する感染予防に関しては、効果が低下するようです。これから更にウイルスが変異し、既存のワクチンの効果が見られ無くなる可能性もありますが、今の所は重症化予防効果に関しては期待できるようです。

 若者なら元々、重症化すること無く治ることが多いため、ワクチンのメリットをあまり感じないかもしれません。しかし、今回の新型コロナでは、治った後も続く後遺症があります。しかも軽症であっても、つらい後遺症が続くことが見られています。感染時の症状の強弱と後遺症の発症率には今の所、何の関係も見られないのです。若くてただの風邪ぐらいの症状であっても、味覚障害などが数ヶ月続き、美味しくない食事を食べる日々が続くことがあると言うことです。場合によっては、仕事や日常生活に支障が出てしまっている方もおられます。また、知人、友人、家族など身近な方、大切な方にうつしてしまったかもという罪悪感にさいなまれてしまう方もおられます(デルタ株に感染した場合、ワクチン接種者であっても未接種者と同じくらい他の人にうつす可能性があるとの指摘もありますので気持ちの問題かもしれません)。残念な事に感染者に対し心無い仕打ちをされることも見られるようです。ワクチンに感染予防効果がどの程度あるのかまだまだ分かりませんが、若いから感染しても大丈夫、だからワクチンは打たないと単純には言い切れない様々な面もあることをきちんと把握しておくことが必要かもしれません。

 ワクチン接種後の副反応のことを心配されている方もおられるかもしれません。私も接種した次の日は、腕が上がりづらくなりました。自分で鍼灸治療をして治しましたが、ほとんどの方は出来ないと思います。お近くの全身を診てくれる鍼灸院へ相談するのも1つの方法かもしれません。当鍼灸院では接種した次に日の治療を勧めています。勿論、アナフィラキシーなどの重篤なものは病院での治療をお願いいたします。

 接種後に死亡したという報告も何件か見られますが、『接種後に死亡』 と 『接種が原因で死亡』では意味が全く異なります。接種の有無に関係なく、人は突然に亡くなってしまうことがあります。因果関係が見られるのか?接種していなくても起こる自然発生率と比べて割合に差が見られるのか?検討することが必要です。厚労省のホームページには、もう少し詳しい説明があるので、ご参照ください。政府・官僚の言うことは信用出来ないと言う方もおられるかと思いますが、マスコミもセンセーショナルな仕方で報道することを好む傾向があるかもしれません。信頼できる情報か。それとも,事実がゆがめられているか、冷静に吟味してください。

 ワクチンを接種することにより、5年後、10年後あるいはそれ以上先に何らかの影響が出るのか?それは誰にも分かりません。断定的に不安を煽る情報には気をつけた方が良いかもしれません。それに対し、感染したらどうなるかはある程度予測することは出来ます。あるのか分からない先のリスクを考えてワクチンを打たないか、それとも目先のリスクを少しでも低減するためにワクチンを接種するのか、一人一人が置かれている状況を考慮して決定して下さい。

 私は、ワクチンを接種します。高齢者と同居していることや高齢の患者さんたちにも接する機会が多いことから接種することにしました。インフルエンザワクチンはここ10数年接種していませんが、今回は影響が大きいため接種しました。とはいえ接種を他の方たちに強要するつもりはありません。接種による体調の変化があるため患者さんには接種の予定を確認しますが、圧力をかける意図はありません。繰り返しますが、ワクチンを打つか、打たないかは個人個人が決定することで強要したり、されたりするものではありません。誤った情報・極端な情報が各所に見られるので簡単にワクチンについて記させていただきました。正しい情報を比較・考慮し、賢明な決定をしてもらえたらと思っています。

 8月7日に二回目の接種をします。副反応がどのようなものになるのか分かりませんが、接種後にそちらも記していきたいと思います。 

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