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夜尿症の子の治療例(10歳)

【患者】 10歳 男児
【主訴】 夜尿(おねしょ)
【主訴の程度】 しないときは何日もしないが、一度してしまうと何日間も連続してしてしまう。出てしまうときの量は多量のことが多い。笑うと日中でも失禁してしまうことがある。
【その他】 普通分娩。妊娠中の経過は問題なし。
      幼児期にクループ症を数回発症。
【治療】
 《 初診 》
 やせ気味の男の子で初めて来た所なのでおどおどとした感じの様子。林間学校で漏らしてしまうのではとおびえており、それまでに治してほしいとの強い要望。
 腹部を触ると下腹部は非常にくすぐったがり触ることもままならない状況。背部は腰椎から仙椎にかけて冷えている。

 下腹部を非常にくすぐったがるため腎積として腎虚症で治療を行なう(積聚治療では、腹診などの結果から背中の治療の仕方や手順を変えています。腎虚と言っても、『腎臓が悪い』という意味ではありません)。
 腹部や背部、手首に『てい鍼』という、先の尖っていないただの金属の棒を軽く接触させていき基本的な治療を行なう。
 基本的な治療を行なった後も仙骨部の冷えが残っていたため、補助的に軽く知熱灸(熱さを感じたら取り除くお灸)を行なう。

 《 2診目(初診から8日後)から9診目(初診から134日後) 》
 約半年後の林間学校までにと期間も限られているので本来なら治療間隔を詰めて行ないますが、事情もあり1週間から4週間に一度程度の頻度での治療を行なう。
 この期間は、一回一回の治療の間に1、2回、一番多くて4回の夜尿。夜尿をする際は、多くの場合、前夜にトイレに行き忘れた時が多いため、意識的にトイレに行くようにしてもらう。
 治療は、概ね初診時と同じ。状況により下肢や腹部にも暖かいお灸を加える。

 《 10診目(初診から146日後)から16診目(初診から216日後) 》 
 二週間に一度程度の頻度で治療を行なう。
 この期間は、夜尿が全くないときがほとんどで、時々一回だけ少し漏れる程度。また、前夜にトイレに行き忘れても夜尿をしなくなった。また、初診時に診られた下腹部のくすぐったがりもかなり軽減される。
 治療は、これまでと同様に補助的に暖かいお灸を加えることが多い。

 林間学校も無事終了したため16診目にて治療終了。
 

【まとめ】
 夜尿症は、その症状だけでなく精神的な面にも非常に影響を与えてしまいます。この患者さんも夜尿症により林間学校が非常に恐怖となり、最初の頃の治療の際は林間学校に行きたくないと何度も何度も訴えておりました。普段もそのことが心配で仕方なく何をしても手につかない状況だったようです。本来は楽しいはずの林間学校ですし、学校側も夜尿症の子供への配慮をしてくれますが、それでもお子さんにとっては自尊心を打ち砕くとても大きな問題です。
 
 『林間学校までに治してほしい』と言われることもしばしばですが、この子はそのお一人です。夜尿症は、その頻度や一回一回の量などで程度をある程度判断することが出来ます。毎晩毎晩大量にする子の場合、治療期間、治療頻度とも多くかかることが予想されます。行事が近くなるほどお子さん自身も焦り、おびえてしまいます。

 お子さんの心身の健やかな成長のために早めの治療をおすすめします。


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