股関節痛とは?

股関節痛の 概要 と 原因

股関節痛の原因疾患例 変形性股関節症 、 椎間板ヘルニア 、 坐骨神経痛

股関節痛の 治療 と 当鍼灸院での治療例

すずめの森はり灸院

股関節痛 【概要】

 股関節は、足の付け根、お尻の所にある関節で骨盤(寛骨)と大腿骨で形成された関節です。上半身と下半身の継ぎ目にあたり、体重が大きくのしかかる為負担が大きく傷みやすい関節です。
 股関節は立つだけでなく、座る、歩く、走る、跳ぶ、蹴るなどの足を使った様々な動きにおいて、その動きを補佐する非常に重要な場所です。そのため股関節に少しでも不具合が生じると、色々な動きに制限が科せられてしまい、非常につらいものです。
 中高年になってくると足の付根のあたりに痛みを感じる人が徐々に増えてきます。痛みはだんだん強くなり歩いたり座ったりすることにも支障が出て、普段の日常的な動きが辛くなります。
 具体的には、足がむくむようになったり、階段や坂を上るのが辛くなったり、歩き出しや座ってから立つ時に強い痛みがでたり、片足をひきずったような歩き方になったり、よく足が冷えようになったりもします

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股関節痛 【原因】

 股関節痛が生じる主な原因には次のようなものがあります。

 外傷によるものの場合、股関節そのものの損傷を思い浮かべる方が多いと思います。確かにそのような方もおられますが、それだけではありません。関連する部位、例えば足首の捻挫や肉離れなどの外傷から股関節痛を来すものが多く見られます。
 姿勢の悪さにも関連してくる点ですが、意識していなくても外傷後に一時的に損傷部位をかばうような動きをしてしまうことがしばしばあります。そのため、股関節に負担がかかり痛みが発生してしまいます。足首や膝など片方の外傷で起こりやすいです。
 また、こうした外傷は整形外科的に治っていても、東洋医学的には治っていない事がしばしばあります。そのような古傷が原因となって、場合によっては長い年数をかけて少しずつ、そして着実に体を『冷やす』ことになります。なんともないと思っていても徐々に『冷え』が広がっていき、過労などでお身体が弱っている時に離れた部位に症状を呈するようになるのです。

 姿勢の悪さからくる場合、多くの場合は左右どちらかだけに痛みが発生します。片足に体重をかけすぎたりして負担が多くなると、片方の股関節が痛むとようになります。肩掛けカバンをいつも同じ方の肩にだけ掛けているのも股関節に偏った負担をかけてしまいます。

 何らかの病気からくるものの場合、原因疾患として代表的なものは変形性股関節症や関節リウマチ、椎間板ヘルニア等に起因する坐骨神経痛などがあり、これらの病気の症状として股関節痛が発生する事があります。

変形性股関節症

 股関節が痛くなる代表的な病気が変形性股関節症です。関節を構成している骨と骨の間には、関節軟骨というクッションのような役割を持つ柔らかい骨があります。股関節にもそのような関節軟骨がありますが、この関節軟骨が、擦り減ってしまったり、変形してしまった病態を変形性股関節症と言います。
 老化など長年の使用により徐々に磨り減ってしまうことが原因となりますが、それ以外にも生まれつき股関節の作りに問題がある『臼蓋形成不全』や、成長過程で股関節の形成が上手くいかない『発育性股関節脱臼』などの病気を持った人が、年齢を重ねるにつれ変形性股関節症になる事も多く見られます。
 基本的に女性に多く、男性に少ない病気です。これは男性に比べて女性の方が骨盤が大きく広い為、股関節にかかる負担が大きいことや出産により骨盤に大きな負担がかかる事、その反面、男性に比べ周辺の筋力が弱いことなどが原因として挙げられます。
 股関節付近だけでなく、太ももや膝上にかけて鈍い痛みが見られることがあります。症状が悪化すると動く度に痛みが走るになったり、安静時でも痛むようになります。また、痛みのために睡眠に影響が出ることもあります。


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股関節痛 【治療】

 病院(整形外科)では、ほとんどの場合、まず保存療法が選択されます。痛みに対して消炎鎮痛薬を処方したり、筋力トレーニングやストレッチ、温熱療法などの理学療法を用いて経過を観察します。効果が見られず、症状がひどい時には手術療法が選択されるようになります。

 これまで長い期間、磨り減ってしまった関節軟骨は再生することはないというのが医学会の定説でした。しかし近年、関節軟骨も再生することがわかりました。その方法は、なんと『貧乏ゆすり』です!!
 椅子に座った状態は、股関節に負担のかからない姿勢です。その状態で貧乏ゆすりを行うと股関節に適度な刺激が伝わり、栄養が行き渡り再生するようです。ご自分でも簡単にできますのでぜひ実践してください。もちろん、貧乏ゆすりをしたらすぐに再生し、痛みがなくなるわけではありません。数年間単位で続けていくことが必要です。

 どちらでも構いません。大事なのは長期間、継続して行い続けることです。

当鍼灸院での治療

 鍼灸治療には様々な流派が有り、鍼灸師毎に鍼灸治療の仕方が全く異なります。当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で鍼灸治療を施しております。積聚治療は、全身に鍼を接触させて行って治療を進めていきます。股関節痛であれ、どんな病気でも全身の調子を整えつつお悩みの症状を治療していきます。股関節が痛いからといって、必ずしもそこに鍼をするわけではありません。そこに鍼をしなくても股関節の強い痛みは多くの場合楽になります。
 積聚治療では、股関節痛などお身体の不調の原因は『冷え』にあると考えています。ここでいう『冷え』という言葉は物理的に冷たいというだけのことではありません。簡単に書くと生命力の低下です。
 ですから、股関節が痛いからといって、患部だけを治療するのではなく、全身的な治療を行います。そのようにすることにより、症状の本当の原因となっている『冷え』を取り除き、症状を緩和させていきます。驚かれる患者さんも多くおられますが、背中やお腹に鍼をしていると症状が取れていく事がしばしばです。
 鍼灸治療を施すことにより、身体を芯から温め、冷えを取り、症状をとっていきます。痛みという症状だけを取る一時しのぎの対症療法ではなく、股関節痛を生じさせてしまった身体の内部の原因から取り除く、根本からの治療を行います。
 股関節痛のつらい症状から早く解放されたい時は、お早めに鍼灸治療をお試しください。


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股関節痛 【臨床例】

【症例】

 41歳 女性

【主訴】 数年前(だいぶん前)から左股関節が痛く、ペンギンのような歩き方になる。
 脊髄小脳変性症(ジョゼフ病)の方で、5年ほど前から発症。股関節はそれ以前から痛む。
小学生の頃からバレーボールを活発に行っており、捻挫は多数有り。また、足背の疲労骨折の既往歴も有り、現在も両足とも大きく変形している。

【治療】

 脊髄小脳変性症という難病も患っておられる患者なので基本的に普通の鍼ではなく、小児などに使用するテイ鍼という刺さらないただの金属の棒を優しく接触させていくという方法で治療をすすめました。
 頸部や仙骨部、顎関節部にも強い圧痛が有り、積聚治療の基本的な治療を行った後、補助治療としてそれらの箇所に適時、ゆっくりとテイ鍼を接触させるようにしました。
 股関節の痛みは、初診時から減少し始め、3診目が終わる頃には、ほとんどなくなりました。歩行は、脊髄小脳変性症による歩行障害はありますが、これまでのペンギン歩きではなく普通に歩けるようになりました。また、ジョセフ病によるふらつきも減少し、歩行速度は大分改善を見ることが出来ました。

【考察】

 片親及び三人兄弟全員が、同じ難病を患っていることから生まれつき精気(生命力)が非常に弱いと思われます。そこに小さい頃の度重なる外傷が加わることにより、様々な症状を呈するようになってしまったものと思われます。
 生来、精気の弱い方であり、難病も患っておられる方であるので豪鍼(通常の刺さる鍼)では、刺激が強すぎると思われます。そのため小児などにも使用するテイ鍼(先端が尖っていない刺さらないただの金属の棒)をゆっくりと接触させてお身体が変化していくのを待つようにしていきました。
 頚部の圧痛にも通常ならきちんとした処置をしたいところですが、刺激が強くなりすぎないようにテイ鍼で優しく刺激するようにしました。
 そのような刺激で身体が治るのか疑問に思われる方もおられるかもしれません。ですが、お身体が非常に弱っている方にはこうした柔らかい刺激の方が身体に沁み渡り今回のように高い効果を生み出すことがあります。逆に非常に弱っている方に強い刺激を加えると逆効果になってしまうこともあります。
 脊髄小脳変性も患っていますので、歩行時のふらつき等は完全になくなることはありませんでしたが、歩行時の強い痛みは改善することができました。


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