疳の虫って何?どうすればいいの?

 疳の虫とは医学的な言葉ではありません。昔は幼い子どもや赤ちゃんの不機嫌からくる行動があると、体の中に疳の虫がいると、考えられていたところからきています。いわゆる「癇癪(かんしゃく)」を起こす子どもに使われ、「癇」が語源ともされています。
 具体的にどのような症状を起こすのかというと、激しい夜泣き、怒りっぽい、かみつき(かみつく)、奇声を発するといったものです。昔は神社を参拝して祈祷をお願いすることが一般的に行われていました。

原因にはどんなものがある?

 疳の虫といっても、もちろん本当に体の中に虫が存在して、赤ちゃんを不機嫌にさせているわけではありません。
 赤ちゃんや幼い子どもは少しずつ自我が芽生えてくるものですが、まだそれを上手に他人に伝えることができません。自分の思いが他人に伝わらないイライラが、怒りっぽい、かみつき(かみつく)、夜泣きなどにつながっていることがあります。また、そのような行動によって自分の要求が通った場合、赤ちゃんや子どもはそれを学習して、同じことを繰り返すといったことにもつながるのです。
 初めて遊園地へ行ったとか、初めて何かをしたときに悪化する傾向もみられます。赤ちゃんは毎日たくさんの事を勉強しています。初めての体験だといつも以上に様々な物を観察し続けます。そうするといつも以上に勉強して疲れてしまい、疳の虫がひどくなるのです。ちょっと知恵熱に似たものと考えても良いかもしれません。

 子どもが成長して自分の意志をきちんと伝えられるようになると、問題は解決することが多いと思われています。しかし、実際に毎日夜泣きをされたり外出時に癇癪を起されたりしていては、母子ともに非常に強いストレスを感じてもおかしくありません。そうした状況が続くことにより子供の発育にどんな影響があるかはよくわかってはいません。
 小児科で相談することを考える親も少なくないでしょう。医学的には、赤ちゃんを不機嫌にさせる病気が潜んでいない限り、もともとの素因、環境、栄養の偏りなどが原因として関係していると考えられています。そのためそのうち治るからと言われるだけで終わることも少なくありません。

疳の虫を治療するには

 激しい夜泣き、怒りっぽい、かみつき(かみつく)などの症状が認められる赤ちゃんや幼い子どもの場合、まず、栄養面に偏りがないか、ミルクの量は適切か、糖分を取り過ぎていないか、生活が極端に不規則になっていないかなどを確認します。もしそのようなことが背景にある場合には、生活面を改めることでいくらか症状の軽減をはかることが出来るかもしれません。騒音や室温など環境から生じるストレスも疳の虫につながることがあるので、その点にも気を配る必要があります。
 近年は流行でもあるかのように安易に発達障害という言葉が使われているため、自閉症やADHDなどの発達障害を心配する親も多いです。発達障害がある子どもは他人とコミュニケーションをとることが苦手だという特徴があるので、夜泣き、怒りっぽい、かみつき(かみつく)といった症状につながることはありますが、疳の虫がいるような症状があるから発達障害であるというわけではありません。

当鍼灸院での治療法

 鍼灸治療には様々な流派が有り、鍼灸師毎に鍼灸治療の仕方が全く異なります。当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で基本的に鍼灸治療を施しておりますが、乳幼児の場合、大師流小児はりの治療法も取り入れております。
 鍼と聞くと尖った金属をぶすぶす刺すと言うイメージですが、小児に行なう鍼は一般的な鍼ではなく、『てい鍼』という尖っていないただの金属の棒を用います。このてい鍼を用いて全身を優しくなでたり、接触させて治療を行ないます。かかる時間は年齢にもよりますが5分程度と思ってください。
 皮膚を軽くなでるだけで効くと言われると疑問に思われるかもしれませんが、最近の科学の進歩により、皮膚は脳と同じ受精卵の外胚葉から発生してきており脳と同じような働きもしていることがわかってきました。そのため第三の脳とも呼ばれています。ですから、皮膚に刺激をあたえることは脳に働きかけるのと同じであり、皮膚から感情や気分に変化を与えることも出来るのです。
 小児鍼灸は、0歳児の赤ちゃんから笑顔で受けることが出来る治療です。心身健やかなお子さんに育つよう、また、育児のストレスを少しでも少なくするため早めに鍼灸治療をお試しください。

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