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歯ぎしりがひどい子供の症例
歯ぎしりや癇癪がひどく周囲から何度も指摘されていた子(1歳児)
【主訴】 歯ぎしり、夜間だけでなく昼間も頻繁にしている。出かけるときはいつもぎゅっと歯を噛み締めている
思い通りに行かないことがあるとギャーとなり、手がつけられなくなる
頭をゴンゴンと打ち付けたりすることもあり。
【患者】 1歳 女児
【既往歴】 なし
【その他】 排便良好。食欲少なめ。夜間覚醒2回、起きてもすぐに寝てくれる。
【治療】
《 初診 》
親としてはこれぐらいは普通かなと感じていたが、多数のママ友から何度も指摘され心配になり来院。
初診時は、憔悴していたり、緊張しがちの母子が多いが、この方は母子ともに落ち着いた感じの様子。症状がひどく保護者が切実に感じて来院したのではなく、頻繁に周囲から指摘されての来院のためかあっけらかんとした感じで実際にどの程度症状がひどいのか初診時の問診だけでは探りきれない感じ。
幼児への治療は、常に短時間(5分以内)で行なうが、この子の場合は、症状の程度や原因となっている物が探り切れなかったため他の子以上に短時間での治療を行ない様子を観察することにする。
腹診をすると特に痛そうな所もなく、臍(おへそ)周辺がやや固い感じ。そのため、脾虚として治療を行なう(積聚治療では、腹診などの結果から背中の治療の仕方や手順を変えています。脾虚と言っても、『脾臓が悪い』という意味ではありません)。
全身を『てい鍼』という、先の尖っていないただの金属の棒でなでるように治療を行なう。
基本的な治療を行なった後も下肢の冷えがかなり残っていたのでドライヤーで暖めて初診の治療は終了。
《 2診(初診の二日後)及び3診(初診から7日後)》
歯ぎしりは幾らか減少し、あったり、なかったりの状態。出かけるときなどはいつもぎゅっとかみしめている。思い通りに行かないときの癇癪は変わらず。
2診目は、初診時と同様の治療を行なう。
3診目は、補助的に顎関節周辺のツボに軽く『てい鍼』を当てる。また、癇癪の強い子に昔から行なわれている足の母指へのお灸を行なう。このお灸は一瞬だけちくっと感じる程度の物で子供は何をされたのかわからずきょとんとしていることも多い治療です。
劇的に変わりました!!
《 4診目(初診から14日後)から7診目(初診から96日後)》
来院するなり、劇的に変わりましたと喜びの声。三診目以降、歯ぎしりが全くなくなった。かみしめもなくなる。夜、目を覚ますこともなくなる。
治療は、3診目同様、顎関節周辺のツボに軽い刺激を与えると共に足の母指や背中に気持ちの良いお灸を行なう。
4診目以降、調子が良好な日々が続いているため少しづつ治療間隔を開けて様子を確認。ママ友たちからも以前と様子が違う事に驚かれる。この間に保育園への入園もあったが、症状がひどくなる事もなく良い状況を保てているので治療終了とする。
噛み締め(歯を食いしばる)は様々な疾患の原因にも
歯をかみしめていること歯ぎしりをすることは、顎関節や首回りの筋肉がこり固まり、肩こりや頭痛の原因になるだけではありません。めまいや胃の不快感など様々な全身の症状を引きおこす『噛み締め症候群』と呼ばれる治りにくい疾患の原因となってしまいます。
噛み締め症候群は非常に多岐にわたる症状を引き起こすため、症状別に診療科を受診すると多数の診療科を受診することになりますし、どこへ行って検査しても異常はありませんといわれてしまう。つらい症状に毎日悩まされているのに誰にも理解してもらえない、そんな患者さんも珍しくはありません。
もちろん、この子はまだそんな状況ではなかったと思いますが、そうしたつらい将来にならないよう気をつけて治療を行ないました。
子育ては初めての経験ばかりですし、子供によって性格も異なりますので親にとっては試行錯誤の連続です。この方も今見られる症状が普通の状況なのか問題があるのかわからない様子でしたが、3診目以降劇的に変わり、これまでの状況が、正常な状況ではないのがようやくわかったようです。
お子さんの治療では、この子のように効果があるのかどうかわからない状況がしばらく続いても劇的に変化することがしばしばあります。毎回毎回の治療効果が積み重なり、大きく変化するのです。一回であきらめずに数回は通うようにしてください。