顔面神経麻痺とは?

  顔面神経麻痺は、顔面の筋肉を支配している顔面神経に何らかの障害が起きるために生じる顔面筋の麻痺です。急激に症状が生じてくることがあります。原因疾患が明らかな症候性顔面麻痺と、明らかな原因が不明な特発性顔面神経麻痺とに分けられます。顔面神経は、感覚は司っていないので、痛みは生じません。
 顔面神経は笑ったり、口を尖らせるなど顔の表情を作る筋肉を動かす働きをします。表情筋は顔の片側に20個ほど存在し、両側に対称的に並んでいます。顔面神経がなんらかの原因で傷害されると表情筋が動かなくなり顔面神経麻痺となります。通常、麻痺は顔面の片側のみの起こるため、笑ったりすると顔がゆがんでしまいます。顔面神経は、運動神経以外にも舌の前3分の2の味覚を伝達したり、アブミ骨筋という音量を調節する小さな筋を支配しています。そのため、味覚障害や音が響いて聞こえるといった症状を伴なうことがあります。
 顔面神経麻痺で最も多いのは、ベル麻痺です。ベル麻痺の年間罹患率は10万人中約20人ほどであり、加齢とともに増加する傾向にあるようです。家族内遺伝も全症例の一割程度あるようです。妊婦は、非妊娠女性に比べ3倍ベル麻痺を発症しやすいので注意が必要です。糖尿病患者では4倍発症しやすいといわれています。ただ、ベル麻痺は報告が義務付けられている疾患ではないため正確な数字は把握されていませんのでご注意ください。

顔面神経麻痺とは?【原因】

 顔面神経麻痺を起こす原因には多くのものがあります。一番多いのは、ヘルペスウイルスによる感染で麻痺が起こるベル麻痺とハント症候群です。中でも単純性ヘルペスウイルスの感染が原因で起こるベル麻痺は、外来を受診される全麻痺患者さんの約60%、水痘疱疹ウイルスの感染が原因で麻痺が起こるハント症候群は15から20%と、統計的に顔面神経麻痺の80%近くがこの両者で占められます。 ハント症候群は、麻痺の後遺症を残しやすいので発症後早期の治療が特に重要となります。
 特発性顔面神経麻痺の原因は不明ですが、考えられる可能性としては寒冷曝露があります。難しい言葉ですが、簡単に言えば冷たいものや空気に触れることです。顔の片側だけにエアコンや扇風機などの冷たい空気が当るような状況が続くと発症することがあると考えられています。そのほかの原因には、アレルギー、局所浮腫、ウイルス感染なども考えられています。
 いずれにしても、顔面神経は顔面神経管と呼ばれる骨で取り囲まれた狭いトンネルを通って脳から外に出ますが、何らかの原因で顔面神経がはれる(浮腫)とその狭いトンネル内で顔面神経が圧迫され麻痺が現れると考えられています。

顔面神経麻痺とは?【症状】

 ベル麻痺の典型的な症状には下記のようなものがあります。

  1. 突然おこる顔面の片側の運動麻痺。
  2. 眉毛下垂(びもうかすい)……眉毛を吊り上げている前頭筋の麻痺で起こります。両方の眉毛の高さが違ってしまうので、顔がゆがんで見えます。また、上まぶたの皮膚もたるむので物が見難くなります。
  3. 笑った時に顔が麻痺している側と反対側にひきつれてゆがんでしまいます。容貌上、患者さんが一番気にする表情の異常です。
  4. 麻痺側の耳が過敏になり、音が大きく響くように感じることがあります。
  5. 麻痺側の舌の前方3分の2の味覚障害を伴うことがあります。典型的な訴えとしては、ものを食べた時、金属を口に入れたような感じがするというものです。
  6. 麻痺性兎眼(とがん)……目を閉じる働きをしている眼輪筋が麻痺するため、目が閉じられなくなります。そのため角膜や結膜が乾燥し目が痛くなります。また石鹸などで洗顔もできません。ひどい時には角膜が 潰瘍を起こし混濁してしまいます。機能的には失明というもっとも重大な障害を起こすこともあります。
  7. 口を尖らせないのでストローなどがうまく使えません。下くちびるの麻痺では、口がゆがんで見えます。また口角が垂れ下がったり、口角からよだれが垂れたりします。
  8. 額にしわを寄せられない

 顔面神経麻痺を訴える患者が額のしわ寄せをできる場合、麻痺の原因は脳内にあり、顔面神経そのものには問題はありません。まずは速やかに病院で精密検査を受けてください。

顔面神経麻痺とは?【治療】

 病院(神経科、神経内科、耳鼻科等)で治療をする際、基本的には外来で治療可能な場合が多いです。時により検査が必要な場合や診断がはっきりしない場合、顔面神経麻痺の程度が強い場合などでは入院が必要となることもあります。
 病院では、副腎皮質ステロイド療法やビタミンB12やビタミンEなどの製剤が用いられます。また抗ウイルス薬が投与されることがあります。眼が閉じにくい場合は人工涙液を点眼して角膜を保護します。リハビリテーション療法や鍼灸治療も用いられます。
 顔面神経麻痺の治療の結果は、早い段階から治療を始めているほど比較的良好なことが多く見られます。不全麻痺の場合、数カ月で自然治癒することもあります。完全に麻痺している状態でも最初の2週間以内に改善の兆候が見られた患者ではほぼ完全に寛解することが多く見られます。
 治癒が完全でない場合には、顔面麻痺が残ることがあります。また再生した顔面神経が本来の支配先と異なった筋を支配してしまった場合には、口を閉じると眼が一緒に閉じたり、熱いものや冷たいものを食べた時に涙が出たりするクロコダイルの涙とも呼ばれる異常連合運動が起こることがあります。
 自然に治るからと油断していて、治らず後遺症に苦しむ方が当鍼灸院には多く来院されています。顔面神経麻痺の場合、特に早期の治療が大切です。後遺症が残ってしまってからでは回復までに多くの時間を要します。発症したら早めに西洋医学(病院)だけでなく東洋医学(鍼灸治療)の併用をお勧めいたします。
 当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で鍼灸治療を施しております。積聚治療は、どのような症状であれ、お腹や背中など全身に鍼を接触させて行って治療を進めていきます。顔面神経麻痺であれ、ベル麻痺であれ、ハント症候群であってもあるいは他のどんな病気でも全身の調子を整えることにより、お悩みの症状を治療していきます。
 積聚治療では、顔面神経麻痺などお身体の不調の原因は『冷え』にあると考えています。ここでいう『冷え』という言葉は物理的に冷たいというだけのことではありません。もっと広い視点で考えており、簡単に言うと『生命力の低下』と思ってください。鍼灸治療を施すことにより、身体を芯から温め、冷えを取り、症状をとっていきます。麻痺という症状だけを取る一時しのぎの対症療法ではなく、麻痺を起こした原因、根本からの治療を行います。
 病院での治療で改善しなかった時や早く麻痺から解放されたい時など顔面神経麻痺でお悩みの方は、お早めに鍼灸治療をお試しください。当鍼灸院は、完全予約制ですし、入れ替えの時間も多めにとっています。そのため、他の患者さんにお会いすることはほとんどありません。他の人の視線を気にすることなく治療を受けることができますのでご安心ください。

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