突発性難聴

突発性難聴の 概要 と 治療法

突発性難聴の 当鍼灸院での治療例

すずめの森はり灸院

突発性難聴 【概要】

 文字通り突然に起こる難聴です。生来健康でそれまでに耳の病気を経験したことのない人が、明らかな原因もなく、あるとき突然に通常片側の耳が聞こえなくなります。
 症状は、突然に耳が聞こえなくなる(高度の難聴)だけでなく、耳鳴りや耳がつまった感じ(耳閉感)、めまいや吐き気を生じることもあります。めまいは約半数の患者さんに認められます。再発することはまれでほとんどの場合、再発は見られません。
 突然に発症するので、ほとんどの患者さんが発症の時期やそのときの状況を覚えています。「何時からかははっきりしないが、徐々に聞こえなくなった」という時は突発性難聴ではありません。

 突発性難聴の定義の一つは原因不明であることです。そのため、どうしてこうした症状が突然に現れたのか原因はわかりませんが、現在では、二つの説が主に提唱されています。
1.ウィルス感染説
 難聴の発症前に風邪のような症状を訴える患者さんが少なくないことや、 突発性難聴の罹患が一回かぎりで再発はほとんどないこと、おたふくかぜやはしかなどのウィルス疾患が突発的な高度難聴を起こすことなどが根拠として提唱されています。
2.内耳循環障害説
 内耳血管が、血栓や出血などによる循環障害を起こして発症するという説です。突然に発症するということをうまく説明できます。また治療として血管拡張剤、抗凝固剤などの循環を改善する薬剤がしばしば有効であることも根拠となっています。しかし、この説では再発はほとんどないという突発性難聴の特徴の説明は困難です。

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突発性難聴 【治療】

 突発性難聴の原因としてウイルス感染説と内耳循環障害説が提唱されていますので、病院(耳鼻科)では急性期にはこれらの原因を想定した治療が行われます。
 血管拡張を目的として血管拡張薬や二酸化炭素混合ガス吸入が行われることがあります。また、血栓により内耳循環障害が生じていると考えられる場合には抗凝固薬が用いられます。他にはビタミン製剤やステロイド剤や星状神経節ブロックが用いられることもあります。

 突発性難聴の治療として重要なのは、症状が出たら速やかに治療を始めるという事と安静です。
 そのうち治るからと思って、経過を暫く見る方もおられますが、発症後2週間経過すると聴力が回復しない例も多くあります。ですから、症状が現れたらしばらく様子を見るのではなく速やかに適切な治療を受けてください。
 突発性難聴の方は、発症前に精神的、肉体的ストレスを感じていることが多く見られます。ストレスは多くの体調不良の原因ですから、心身ともに安静にして、ストレスを解消することは重要です。


 鍼灸治療には様々な流派が有り、鍼灸師毎に鍼灸治療の仕方が全く異なります。当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で鍼灸治療を施しております。積聚治療は、全身に鍼を接触させて行って治療を進めていきます。突発性難聴であれ、どんな病気でも全身の調子を整えつつお悩みの症状を治療していきます。突発性難聴だからといって耳の付近にばかり鍼をするわけではありません。耳周囲に鍼をしなくても突発性難聴の症状は楽になります。
 積聚治療では、突発性難聴などお身体の不調の原因は『冷え』にあると考えています。ここでいう『冷え』という言葉は物理的に冷たいというだけのことではありません。簡単に書くと生命力の低下です。
 ですから、難聴、耳鳴り、めまいがあるからといって、耳周囲だけを治療するのではなく、全身的な治療を行います。そのようにすることにより、症状の本当の原因となっている『冷え』を取り除き、症状を緩和させていきます。驚かれる患者さんも多くおられますが、背中やお腹、あるいは症状の出ている部位と左右反対に鍼をしていると症状が取れていく事がしばしばです。
 鍼灸治療を施すことにより、身体を芯から温め、冷えを取り、症状をとっていきます。症状だけを取る一時しのぎの対症療法ではなく、突発性難聴を生じさせてしまった身体の内部の原因から取り除く、根本からの治療を行います。
 突発性難聴のつらい症状から早く解放されたい時は、お早めに鍼灸治療をお試しください。

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突発性難聴 【臨床例】

【症例】

 柏市在住 20代 女性
主訴  : 耳のこもり、耳鳴り、頭痛
現病歴 : 1ヶ月前に左耳の突発性難聴を発症。4日後に病院にて加療。難聴は治るも耳鳴り等は変わらず病院ではこのまま治らないと言われ当鍼灸院を受診。
随伴症 : 夜間頻尿(毎晩4、5回は排尿で起床)、明け方に足がむくむ
既往歴 : 特になし
他   : お仕事が不規則で夜勤も多い
所見  : 恥骨付近とおへその少し下(いわゆる臍下丹田)に強い圧痛。顎関節や耳周囲に弱い圧痛。長野式キー子スタイルの左のめまい点に非常に強い圧痛。

【治療】

 初診時は、積聚治療の基本治療を行う。補助治療として、上実(のぼせ)が、強いので反対側の右の顎関節付近に鍼をする。
 初診の治療後(初診時から5日後)、こもりや耳鳴りはあまり変化なし。むくみは大幅に減少。夜間頻尿は、1度のみとなる。初診時と同様の治療の後、前回同様、反応の強く出ている長野式の耳鳴り点を指標にして、補助治療を加える。
 三診目(初診時から17日後)耳鳴りは、鳴っているが意識しなければ気にならない程度まで減少。むくみ、夜間頻尿はなくなる。基本的な治療に加えて、頚部の反応点に処置を行う。
 四診目(初診時から27日目)耳鳴りは以前ほど強い音ではないが、ずっとなっている。夜間頻尿はないが、寝れない日が続いた。基本治療の後、足の指の付け根のツボを刺激。
 五診目(初診時から33日目)耳鳴りがひどい状態。四診目の治療後、寝れるようになったが、昨日また寝れなくなった。前回同様の治療を行う。YNSA(山元式頭鍼療法)の耳鳴り点を指標にして、ゆっくりと時間をかけて右足の指の付け根のツボに鍼をしました。耳鳴り点の反応が完全に消えたのを確認し、耳の状況を聞くと耳鳴りは全くなくなり、詰まった感じもなく発症前と同じほど非常にスッキリとしているとのこと。
 五診目以後、症状は出ることなく治療終了。

【考察】

 自分自身の問診の拙さもあり、発症の原因となったこの方の根本的な原因はいまいちわかりませんでした。本人の記憶には特にありませんでしたが、頸部に強い反応が出ていたので以前何らかの原因で頸部に衝撃が加わり、それが原因の一つになってしまったと思われます。
 突発性難聴の方は、耳周囲に反応の出ている方が多く見られますがこの方は比較的に少なく、どこを指標に治療を進めていくか悩んだ方です。耳鳴りは、めまいや耳閉感と比較するとなかなか治らないことの多い症状なので、回復は難しいかもしれないとも思いましたが、鍼灸治療の他の流派の耳鳴り治療点に顕著な反応が出ていたのでそこを指標にしたところ著効しました。
 治療家によっては、自分の治療法に絶対的な自身を持ち、他の治療法に批判的であったりすることもありますが、自分自身は、どの流派でも一長一短であると思っています。自分自身の治療法の臨床力を向上させていくことはもちろんですが、それにとらわれることなく、様々な治療法の良い点を学んでいくことの大切さを感じた症例でもあります。
 突発性難聴の治療で重要なのは早期治療です。この方は比較的に早い段階から鍼灸治療を始められたこともあり、回復することができました。ぜひ、突発性難聴の際はお早めに鍼灸治療をお試しください。

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