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夜泣きの子供の症例

【患者】 1歳 女児
【主訴】 夜泣き。寝付きが悪く、寝ても何度も目を覚ます。
     癇癪をよく起こし、頭を床に打ち付ける。
【経過】 生後3,4ヶ月ぐらいから寝付かなくなる。夜泣きは8ヶ月ぐらいから
【その他】 下痢と便秘を繰り返す。
      頻繁に風邪を繰り返す。一度鼻水が出始めるとまず悪化する。
      難産で20時間かかったすえ、吸引分娩で産まれる。へその緒が首に絡まっていた。

【治療】
 《 初診 》
 鼻水、中耳炎の子供によく見られるが、耳周りのツボを軽く触るととても気持ちよさそうな様子。
 それとは対照的に首回りは、出産時の負担が原因と思われるが、痛そうな様子。
 腹診をすると痛そうな所はなく、臍(おへそ)周辺がやや固い感じ。そのため、脾虚として治療を行なう(積聚治療では、腹診などの結果から背中の治療の仕方や手順を変えています。脾虚と言っても、『脾臓が悪い』という意味ではありません)。
 全身を『てい鍼』という、先の尖っていないただの金属の棒でなでる。特に気持ちの良さそうにする耳周辺を念入りに行なう。
 基本的な治療を行なった後も腹部の固さが残っていたため、補助治療として足の母指の爪の根元に小さな(米粒の半分程度の大きさ)お灸をする。
 また、首筋にもコロコロと転がすローラー状の鍼で軽く刺激を与え初診の治療を終了。

 《 2診目(初診から21日後) 》
 本来なら最初の頃はあまり治療間隔を開けない方が望ましいが事情により3週間後の治療となる。
 夜泣きは少し減った。排便は2日に一回。
 治療は、基本的な治療に加えて、背中及び足の母指のツボに補助的な治療を行なう。

 《 3診目(初診から25日後) 》 
 夜泣きが大分減る。また、夜に目が覚めてもすぐに寝てくれるようになる。
 治療は、前回同様。

 《 4診目(初診から31日後) 》
 夜泣き無し。排便も毎日出るようになる。
 同様の治療をして、治療終了。

【まとめ】
 夜泣き、便秘は、どの程度から治療が必要なのか判断の難しい所です。この程度なら普通の事ではないかと感じ、治療を受けるのをためらわれる方もおられると思います。そのような方でも今回の症例のように実際に治療を受けてみると大きく改善し、今まで我慢してきたのがなんだったのかと思われる方も少なくありません。

治療をする上で出産時の状況は非常に大事

 原因としては、食生活や生活環境の変化などが大きな要素となりますが、それ以上に問題となる事が多いのは今回の症例にもある出産時の問題です。臍帯が首に絡まっていた、吸引分娩(あるいは鉗子分娩)をしたと言う場合、首に大きな負担がかかりむち打ち症のような状況となることがしばしばあります。子供は体調が悪くても幼い頃からの場合、それが普通と感じてしまい見過ごされてしまいがちです。自然と回復すれば良いのですが、その後大きくなってから全く別の疾患の原因となって現れることもあります。

 今回の場合、夜泣きや便秘、癇癪といった子供の出すサインを親が見過ごさずにすぐに治療を受けてくれたことが幸いです。
 臍帯が絡まっていた、吸引分娩となったというときは、お早めに治療をお受けください。

子供の出すサインを見逃さないで!


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