膝の痛みで悩みたくない!
膝痛治療には鍼灸と軽い運動

膝が痛くなる病気とは?

 膝痛は40歳代頃から始まり、65歳ほどから急激に増え始めます。膝が痛くなる病気はいくつかありますが、そのなかでも一番多いのは「変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう または へんけいせいひざかんせつしょう)」でしょう。膝関節にはクッションの役目として軟骨があり、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)の間、膝蓋骨(しつがいこつ、一般的に膝のお皿と呼ばれている)の内側などに存在します。
 変形性膝関節症は、この軟骨がすり減ることで発生します。軟骨が減ると膝に炎症が起こり、痛みの発生と同時に関節液が増えて、次第に膝の中に水が溜まってきます。この状態をさらに放置すると、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の出っ張りができ始め、ひざ関節の周囲の組織を圧迫してさらなる強い痛みが出てきます。

変形性膝関節症の進行と症状

 変形性膝関節症の場合、その症状によって進行度合いを初期、中期、後期の3種類に分けることができます。
 初期の頃は通常の生活で痛みはありませんが、歩き始めに少し膝に痛みを感じることもあります。階段の上り下りのときに膝が重く感じられ、朝起きたときに膝が硬く動かしにくい感じがします。軟骨は少し亀裂が入った程度で、左右の膝の間に少し隙間が出てO脚あるいはX脚になってきます。
 中期では軟骨がさらにすり減って、骨と骨の隙間がかなり狭くなってきます。持続した痛みが出るようになり、膝が腫れ、膝に水が溜まってきます。膝をまっすぐに伸ばすことができず、膝が外側に向いているO脚、あるいは内側に向いているX脚だとはっきりわかるようになります。
 後期になると軟骨がほとんど無くなった状態になるため、骨と骨がぶつかって強い痛みが発生します。そのため、身の回りのことができず普通に歩くことさえできないようになります。膝関節がグラグラと不安定になり、膝全体が大きく腫れたようになります。

変形性膝関節症の主な原因

 変形性膝関節症の主な原因は、「加齢による骨の新陳代謝の低下」や「軟骨へのストレス」などです。軟骨へのストレスとは、「膝への負担が大きい仕事やスポーツなどを行っている」ことや「冷え」、「肥満」、「過去のケガ」のほかにも、「O脚やX脚」、「筋力の低下」などがあげられます。
 この病気で悩む人は男性よりも女性が多く、「男性よりも筋肉量が少ない」、「閉経による女性ホルモンの減少で太りやすくなり、膝関節の負担が急に増加する」、「女性ホルモンの減少で骨が弱くなる」などが考えられています。

変形性膝関節症の予防

 膝痛の予防には普段から軽い運動で骨に刺激を与え、筋肉量を減らさないようにすることが大切です。まずは正しい姿勢で正しい歩き方を身に付けることから始めてみましょう。前に出した足はしっかりと伸ばしてかかとから着地し、後の足はつま先でしっかりと蹴りだすようにします。膝を曲げたまま歩いていると膝の一部分のみに力がかかり膝蓋骨が不安定になるので、膝を意識して歩くようにしましょう。歩くときは靴にも注意が必要です。靴底が片側だけすり減っている物をはいていたらどんどん悪化します。新しい物に買い換えて歩くようにしてください。
 膝痛予防には、さらに足の筋肉のストレッチや軽いトレーニングを行うと効果的です。ですが、痛みが出る仕方で行なうと逆効果になりますので絶対に無理はしないでください。椅子に座り、足の裏をしっかりと床につけたまま、ゆ〜っくりと前後にすり動かす事が効果的です。ゆっくり動かすという点が非常に大事な点なので気をつけて行なってください。
 鍼灸治療で膝の痛みや筋肉のこわばりなどを軽減することで、筋肉を鍛える運動が楽にできるようになる可能性がありますので鍼灸治療もお試しください。
 膝の痛みを改善するには、体重のコントロールも大事です。標準体重を心がけて普段の食生活を見直しましょう。

膝痛の原因となる病気は他にもある

 変形性膝関節症の他にも、膝に痛みが生じる病気はいくつかあります。過度のスポーツやケガ、加齢になどにより、半月板(はんげつばん)に傷がついたり裂けたりする「半月版損傷(はんげつばんそんしょう」や、免疫異常によって引き起こされ、複数の関節が痛む「関節リウマチ」などがあります。いずれにしても膝が急に痛くなった場合は、早期に医師の診察を受け、病名を特定して適切な治療を受ける事も大事です。

当鍼灸院での治療

 鍼灸治療には様々な流派が有り、鍼灸師毎に鍼灸治療の仕方が全く異なります。当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で鍼灸治療を施しております。積聚治療は、全身に鍼を接触させて行って治療を進めていきます。変形性膝関節症であれ、どんな病気でも全身の調子を整えつつお悩みの症状を治療していきます。
 積聚治療では、変形性膝関節症などお身体の不調の原因は『冷え』にあると考えています。ここでいう『冷え』という言葉は物理的に冷たいというだけのことではありません。簡単に書くと生命力の低下です。
 昔の何気ないケガや生活習慣などが元となって身体に『冷え』が生じ、それがきちんと回復せずに時間の経過とともに冷えが広がり、普段ならなんともないような刺激にも耐えられなくなりその方の弱い箇所に症状が出てしまったと考えます。
 ですから、症状の出ている部位だけを治療するのではなく、全身的な治療を行います。そのようにすることにより、症状の本当の原因となっている『冷え』を取り除き、症状を緩和させていきます。
 症状だけを取る一時しのぎの対症療法ではなく、問題を生じさせてしまった身体の内部の原因から取り除く、根本からの治療を行います。
 膝の痛み痛が出てきたら、整形外科だけでなく鍼灸院で治療を受けることも検討しましょう。

上へ戻る