お灸に関する質問集

お灸(もぐさ)は、何からできていますか?

お灸にはどのようなものがありますか?

お灸をすると痕が残るのですか?

自分でお灸をしたいのですが教えてくれますか?販売は?


お灸(もぐさ)は、何からできていますか?

 お灸は、ひねったもぐさに火をつけて温熱刺激を身体に与えています。このもぐさの原料は、ヨモギです。
 よもぎといえば春、芽生えたばかりの香りの高いよもぎを餅につき込んだよもぎ餅はが有名ですが、このヨモギから作り出されています。
 古くからヨーロッパで「ハーブの母」とよばれてきたよもぎは薬効成分が多く殺菌・消炎・保湿効果にすぐれ、お風呂に入れたりお茶にしたり、その葉をもんで傷口にあてて止血剤としても用いられてきました。
 初夏、成長したよもぎを刈り取り乾燥させます。その後、臼でひいてふるいにかけるという作業を何度も何度もくりかえし、不純物を取り除き精製することでできるのがもぐさです。
 その過程を何回繰り返しているかによって、もぐさの精製具合が変わってきます。下の写真の一番右側が回数の少ないもので、左に行くほど繰り返しふるいにかけられています。
 精製の工程が少ないほど不純物が多く含まれており、高温になります。不純物の多く含まれている荒もぐさは知熱灸に、不純物の少ない良質もぐさは透熱灸にと状況に応じて使い分けています。知熱灸、透熱灸に関しては下記で説明しています。

もぐさ三種

一番右側はパッと見ても違いがわかりますが、左側の二つは同じように見えると思いますので、拡大写真も載せておきます。

良質もぐさ

こちらが良質もぐさの拡大写真です。荒もぐさに比べて不純物(黒い点)が少ないのがわかるでしょうか?こちらは透熱灸に使用します。透熱灸、知熱灸に関しては次の質問で説明しています。

荒もぐさ

こちらが荒もぐさです。拡大してみると黒い点々(不純物)がいくらか含まれているのがわかります。こちらは知熱灸に使用します。透熱灸、知熱灸に関しては次の質問で説明しています。

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お灸にはどのようなものがありますか?

 お灸は、大きく二つに分けることができます。皮膚の上に直接据えて灸痕を残す有痕灸と、直接は据えますが燃やしきる前に消したり、あるいは皮膚に直接は据えない無痕灸との二つです。

●有痕灸

透熱灸

 皮膚の上に直接モグサをひねったものに線香で火をつけて焼ききります。大きさは状況によりさまざまですが米粒大(べいりゅうだい)や半米粒大(はんべいりゅうだい)が基本です。文字のとおり、米粒大は米粒程度の大きさ、反米粒大は米粒の半分程度の大きさです。直径2ミリ程度の灸痕が残ります。当鍼灸院で行っている有痕灸は、この透熱灸です。


打膿灸

 大豆大から指頭大の灸を焼ききり、その部位に膏薬を塗って故意に化膿させます。テレビドラマなどで取り上げられるのは、こうした激しいものなのでお灸に恐怖感を持っている方も少なくありませんが、大きな灸痕を残すため今日ではほとんど行われていません。当鍼灸院でも行っていません。

●無痕灸

知熱灸

 小指頭大のお灸を据えて患者さんが熱さを感じたら教えてもらいお灸を取り除きます。熱く感じたらすぐに取り除くので熱いのを我慢する必要はありません。気持ちが良いので寝てしまう患者さんも大勢おられます。


隔物灸

 艾の下に物を置いて伝導熱を伝える灸。下に置くものとしてはしょうがやにんにく、ビワの葉、塩などがある。下に置く物の薬効成分と温熱刺激を目的とした灸法です。当鍼灸院では行なっておりません。


台座灸

 既製の台座または筒状の空間を作り台座とする隔物灸の一種。せんねん灸が有名です。当鍼灸院では価格面を考慮して柔灸をおすすめしております。


棒灸

 直径1センチほどの練りもぐさに火をつけてそのまま皮膚に近づけます。輻射熱で温める灸です。熱くはありません。当鍼灸院でも時により行なっております。中国では主流の灸法です。


灸頭鍼

 皮膚に鍼を刺鍼してその先端に丸めたもぐさをつけて火をつけます。鍼の刺激と灸の輻射熱を同時に与えることが出来るものです。当鍼灸院ではあまり行っていません。

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お灸をすると痕が残るのですか?

 お灸には様々な種類があることを上記に記しましたが、そこにあるようにお灸には痕が残るものと残らないものとがあります。
 患者さんのお身体の状況によりどのようなお灸を使うか決めていますが、痕が残るお灸の場合、痕の大きさは直径2ミリ程度で、数週間できれいになくなる事がほとんどです。
 どうしても痕がつくのが嫌な場合は、灸熱緩和紙というシールを貼ってその上にお灸をします。熱さは幾らか緩和されますし、痕が残ることもありません。
 子供などを強く叱る意味の言葉として『灸を据える』という言葉があり、灸=懲らしめ と考え、やけどが残るほど熱いものというイメージを多くの人が持ってしまっています。ですが、そのようなことはありませんのでご安心ください。

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自分でお灸をしたいのですが教えてくれますか?販売は?

 最近『お灸女子』という言葉も聞かれるようになりお灸がブームになっているようです。
 でも実は、お灸は一時的なブームなどではなく古くから自分でできる養生法として活用されてきました。松尾芭蕉が毎日自分にお灸をしていたことは有名です。毎日自分の足三里にお灸をすえて体調管理をしていたようです。
 しかし残念なことに最近では、鍼灸院でもお灸をしないで鍼だけで治療をするところが増えてきました。日本の灸文化がだんだん衰退しているようで残念に感じていました。そのような中お灸に目が向けられ、『お灸は熱い』というマイナスイメージではなく『お灸は身体に良い』というプラスのイメージが広がっているのは嬉しいことです。
 当鍼灸院では、お灸は日々の治療に頻繁に用いられております。毎日毎日たくさんのお灸をひねっています。そのために換気扇を2台設置しているぐらいです。
 もちろん『自宅でもお灸をしたい』という方のためにご希望の患者さんには販売もしております。その際に指導も行いますのでお気軽にご相談ください。
 なお、患者さんの容態によってはお断りすることもあるのでご了承ください。


 お灸ブームの火付け役になったのは、せんねん灸ですがこちらは割高なので当鍼灸院では『柔灸』を販売しています。形状はせんねん灸と同じです。
 販売価格は、200壮入りで 1,900円です。
 熱さは四種類(強・弱・マイルド・ソフト)ありますが、『マイルド』でも十分の熱量があります。弱でも熱すぎるのでご注意ください。当鍼灸院での販売はマイルドのみとなります。
 お灸をしたいけれども煙が気になる、という方にはほとんど煙は出ないスモークレスタイプもあります。柔灸とは形状が違いツボ状になっています。その分価格は高くなります。当鍼灸院には在庫のない時もありますので、ご希望の方は早めにご連絡ください。
 お灸をしたいけれどどこにすれば良いのか分からないという方は、下記の本を参考にしてください。お灸の神様と言われた深谷伊三郎先生のお弟子さんがお灸のことをわかりやすく記しています。
 ただし、こちらの本で記されているお灸の数(壮数)は、鍼灸師がひねるお灸(透熱灸)での数え方です。柔やカマヤ等の間接灸とは違います。間接灸でこの本に記されている数をしたら体調を崩してしまいます。まずは一壮ずつお試しください。
● 深谷灸法による病気別・症候別灸治療 患者のからだに聞け /(緑書房、福島哲也著)


 

ぜひ、お灸の心地良さをご自分でも味わってください。

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