筋断裂(肉離れ)とは?

肉離れの 概要 と 症状 、 治療と予防法

肉離れの 当鍼灸院での治療例

筋断裂(肉離れ) 【概要】

 十分にウォーミングアップをせずにスポーツなどで急激な動きをしてしまうと、その動きに耐えきれなくなって筋組織が断裂することがあります。この状態を筋断裂といいますが、一般的には、肉離れと呼ばれています。
 主に太もものやふくらはぎの筋肉によく発生します。大腿部(太もも)の肉離れは、20代前後の若年層に多く発生します。ふくらはぎの肉離れは、各年齢層にまんべんなく発生します。児童や小中学生はまだ比較的筋肉が柔軟なため発生はあまり見られません。

上へ戻る

筋断裂(肉離れ) 【症状】

 典型例では、短距離走など瞬発力の必要な動きの際に急激に激しい痛みが生じ、走れなくなります。損傷部は腫れ、多くの場合で内出血を伴います。痛みのため損傷箇所の近くの関節を動かすことが困難になります。
 筋肉はひとつの筋肉でも多数の筋繊維で構成されています。それがどの程度断裂したかにより筋断裂の程度、症状は変わります。損傷の程度によって、歩行は可能な場合と困難な場合とがあります。
 発症してからの時間の経過と共に重力により内部の出血は徐々に下がってきます。そのため、どんどん青あざが下の方へ広がっていきます。悪化していると誤解しがちですがそうではありませんのであまり心配しすぎないでください。また、筋肉が完全に断裂した際は、切断された筋肉も徐々に下がってきます。そのため、最初の損傷部位よりも下方に大きな腫れが生じてきます。
 筋断裂の中心部は押すと強い痛みが生じます。重症の時は筋断裂部のへこみを指で触れることもあります。

上へ戻る

筋断裂(肉離れ) 【治療と予防】

 一般的に病院(整形外科)では保存療法が用いられます。急性期には1日から2日局所を冷却し、弾性(伸縮性のある)包帯による圧迫・固定を行います。その後は徐々に動くようにしていき、圧迫包帯を除去していきます。まずは軽いストレッチから始めその後、軽いランニング程度の運動を開始します。
 軽症では2週間から4週間程度、中程度では4週間から6週間が復帰の目安となりますが個人差が大きく見られます。


予防

 肉離れを予防するためには十分なウォーミングアップが大切です。運動あるいは何か作業を行う際は軽い動きで身体を温め、ほぐしてから行うようにします。
 他に発生要因として、筋肉の疲労の蓄積、過去の損傷、急な気候の変化(特に急に冷え込んできた時)、体調不良、筋力のアンバランス、柔軟性の欠如などが考えられます。普段から規則正しい生活と栄養豊かな適量の食物、そして睡眠を十分にとり、疲労を溜めないようにすることが必要です。


当鍼灸院での治療

 鍼灸治療には様々な流派が有り、鍼灸師毎に鍼灸治療の仕方が全く異なります。当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で鍼灸治療を施しております。積聚治療は、全身に鍼を接触させて行って治療を進めていきます。筋断裂であれ、どんな病気でも全身の調子を整えつつお悩みの症状を治療していきます。太ももの筋肉が断裂して痛いからといって、必ずしもそこに鍼をするわけではありません。そこに鍼をしなくても肉離れの強い痛みは楽になります。
 積聚治療では、肉離れなどお身体の不調の原因は『冷え』にあると考えています。ここでいう『冷え』という言葉は物理的に冷たいというだけのことではありません。簡単に書くと生命力の低下です。
 筋肉が断裂した原因は、もちろん急激に激しい動きをしたことにあります。しかし、同じ動きをしても普段ならなんともないのに発症したということもあります。その場合は、普段ならなんともない動作でも、それ以前に何らかの原因で身体に『冷え』が生じ、それが原因となって、たまたまその方の弱い箇所に症状が出てしまったと考えます。
 ですから、筋肉が断裂したからといって、損傷部位だけを治療するのではなく、全身的な治療を行います。そのようにすることにより、症状の本当の原因となっている『冷え』を取り除き、症状を緩和させていきます。驚かれる患者さんも多くおられますが、背中やお腹など損傷した部位から離れたところに鍼をしていると症状が取れていく事がしばしばです。もちろん直接的な外傷が原因と考えられることもあります。その際は、直接患部に刺鍼する際もあります。
 鍼灸治療を施すことにより、身体を芯から温め、冷えを取り、症状をとっていきます。痛みという症状だけを取る一時しのぎの対症療法ではなく、肉離れを生じさせてしまった身体の内部の原因から取り除く、根本からの治療を行います。もちろん理論だけで痛みが取れなければ意味がありません。実際に肉離れの激しい痛みも短期間で緩和することができます。
 肉離れのつらい症状から早く解放されたい時は、お早めに鍼灸治療をお試しください。

上へ戻る

筋断裂(肉離れ) 【臨床例】

【症例 1】

 

 柏市在住 37歳 男性
来院、1週間前に冬の寒い日に早朝トレーニングをしていた際に発症。ストレッチやウォーミングアップなしにいきなり坂道でダッシュした際に右太もも裏側に急激に激しい痛みが生じる。
 特に病院にもかからずに経過を見ていた所、痛みが徐々に広がってきたので心配になり来院。
 一年ほど前にも同じ箇所を損傷したことが有り。
 今回の症状は、走ることは出来ないが歩行は行える程度。安静時でも常に違和感がある。

【治療】

 お腹全体が暖かく、弾力もあり、下腹部に幾らかの痛みが有るぐらいで他には特に目立った所見はありませんでした。
 最初の治療は、積聚治療のごく基本的な治療を行いました。背中の治療をしただけで安静時の違和感が減少。その後、補助治療として損傷箇所とは反対側の左足に鍼を優しく当てていた所、圧痛の範囲がどんどん狭くなっていき、ほんの数分で圧痛が全くなくなりました。
 治療後、立ち上がってもらい動いてもらった所、痛みも全く発生せず、一度の治療で終了としました。

【考察】

 普段からトレーニングをしている方でこれまでも時に大きな病気、怪我もなくお腹、背中ともほとんど所見のない比較的健康な方でした。
 一年前の同部位の損傷は気になりますが、他の過去の損傷部位(足首や膝)は、十分回復しているように見受けられました。
 これまで長年、暖かい地域で生活していましたが、最近こちらの方に転居し、寒い冬を経験してお身体が冷えてしまっていたようです。
 通常なら肉離れの際は、週に一度程度のペースで一ヶ月程度は様子を見させていただきますが、次のような理由からこの方は一度の治療で終了としました。
 ・ 損傷の程度が比較的軽度であること
 ・ 腹部や背部の所見が非常に少なく比較的健康体であった事
 ・ 背部等の基本的な治療をしている際の身体の変化を見ている限り冷えが比較的少なかった事
 ・ プライベートでも会うことのある知人で経過観察がその際にできる事

上へ戻る

【症例 2】

 

 松戸市在住 47歳 男性
 三月のまだ寒い日、昼頃に何気ない普段の作業中に発症。損傷部位は右足ふくらはぎ。
 次の日に来院。真っ直ぐに立つ事も困難で、やっとのことで何とか歩いている様子。
 損傷から一日しか経っていないのに非常に広範囲に内出血も認める。

【治療】

 これまでも何度か見ている患者さんであったことも有り、治療は積聚治療の逆治を使用。
 基本的な治療をして、圧痛の出ている範囲を大分狭めた後に損傷箇所に直接刺鍼。当鍼灸院では鍼を刺さないことが多いですがこの際は刺入しました。指先へのお灸も加えた後、テーピングして肉離れ後、最初の治療を終了。
 前回の治療から9日後に2度目の治療。最初の治療の後、ほとんど痛みはなくかなり楽になったが、足が重だるい感じが残るとの事。今回は前回同様の積聚治療の基本的な治療を行った後、左足先に鍼を優しく当てるようにしました。お灸やテーピングはせずに2度目の治療を終了。
 その後、1週間後に再度治療。前回後非常に調子が良かったため、もう大丈夫と思い、子供と遊んでいたら再度損傷。2診目と同様の治療に損傷箇所と反対側に鍼を追加して終了。
 肉離れの症状はその後全くなく、損傷後3度、約3週間で終了となりました。

【考察】

 この方は、これ以前も、その後も治療に来られている方で様々な症状に苦しんでおられました。古傷(数年前の骨折)の痛み等にも悩まされていた方です。また、足の裏には、ごく狭い範囲(直径2センチ程度)に数十個の魚の目が群生している珍しい方でした。
 この方の場合、特に激しい動きをしたわけではありませんが、過去の度重なる交通事故や骨折等の外傷が十分に回復しておらず、そこから冷えが生じ、様々な症状を呈するようになっていったようです。
 今回の肉離れの治療経過には含まれていませんが、頚部の治療や骨折痕の治療を加えることにより、他の様々な症状も緩和していきました。足の裏に群生していた魚の目はこれまで何度手術しても再発を繰り返していたそうですが、足に顕著に出ていた反応点に皮内鍼(シールにごく短い鍼が付いていて、しばらくの間貼っておき、刺激を与え続けるもの)を貼ったところ一、二週間で全て消えていき、その後再発しなくなりました。

上へ戻る

筋断裂(肉離れ) 【関連ページ】

上へ戻る