小児鍼灸に関するよくある質問

小児鍼灸とは?

小児鍼灸ではどのような事をしますか?

なでるだけで効くの?

小児鍼灸は何に効きますか?

疳の虫って?

小児鍼灸を受けてはいけないときはありますか?

何歳ぐらいから小児鍼灸を受けられますか?治療時間は?

小児鍼灸はどの程度の頻度で受けた方が良いでしょうか?

東洋医学を活用した親にもできる乳幼児の健康増進法はありますか?


小児鍼灸とは?

 関東ではあまり耳にすることはありませんが、関西では昔から小児の健康維持のために気軽に用いられておりました。
 小児鍼灸の歴史は不明瞭と言われていますが、古くは平安期から小児の治療に鍼灸が用いられていた記述があります。ただ、当時のやり方は現代の小児鍼灸とは全く異なる鍼灸治療でした。
 現代のような接触・摩擦刺激が主体の小児鍼灸が行われるようになってきたのは江戸時代後期〜明治時代頃からです。当時は、大阪を初めとして関西地方で広く行われており、小児鍼灸の大家の治療院には一ヶ月に3000人程の小児が来院していたと言われています。
 その後、関東にも伝わってきましたが、核家族化や健康保険の導入により西洋医学の治療が安価で受けられるようになったこともあり徐々にすたれていってしまいました。関東では施術している鍼灸治療院も減少し、残念ながら小児鍼灸という言葉をあまり耳にすることがなくなっています。

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小児鍼灸ではどのような事をしますか?

 当鍼灸院では、小児に鍼灸治療を行う際にはテイ鍼という鍼を用いています。鍼とは言ってもテイ鍼は、先端は1ミリ〜2ミリ程度の尖っていないただの金属の棒のような形状をしています。そのため刺さることはありません。
 小児鍼(はり)は、そのテイ鍼を用いてお子さんの肌を優しくなでさすったり、軽く当てたりして治療を行います。強く押し当てる事はしません。そのために全く痛くありません。
 それでも鍼と言うとイメージだけで怖がってしまう子供もいますのでお子さんの前では鍼とは口にしないで『なでなでしようね』というようにしています。保護者の方も鍼とはできるだけ言わないでください。また、予防接種の後など白衣を見るだけで泣きじゃくるお子さんもいますが、回数を重ねるにつれ、気持ちの良いことをしてくれる場所と信頼し、お子さんも喜んで来るようになります。
 最初の時は始めての事なので怖がるお子さんもいますが、何度か小児鍼を受けることによりお子さん自身が喜んで治療に行きたがるようになることも少なくありません。

 

小児鍼は、優しく撫でさするものでお子さん自身も笑顔で受けられる気持ちの良い治療です。

 

 下記の写真はクリックすると大きく見ることができます。

テイ鍼

こちらが妊婦や小児などの鍼灸治療に使用するテイ鍼です。様々な形状がありますが当鍼灸院では、このようなものを使用しています。ただの金属の棒ですが、これでも治療に使用する鍼です。

テイ鍼サイズ

おおよそのサイズはごらんの通りです。先端は2ミリほど長さ7センチ程度のただの金属の棒です。一般的に想像される鍼とは全く形状が異なります。

テイ鍼先端

テイ鍼の先端の拡大写真です。ご覧のとおり先端は尖っていませんので、皮膚に当てても痛くありません。この鍼を軽く当てながら治療をします。

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なでるだけで効くの?

 小児鍼灸の基礎研究は少ないですが、現在幾つかの治効理論が考えられています。
(1) 小児発育期の自律神経のコントロール
(2) 免疫力の増強
(3) 成長ホルモンや副腎皮質ホルモンの調整作用
(4) 血行改善

 皮膚刺激の発育に対する重要性の報告も幾つかあります。
 13世紀ローマ皇帝は50人の子供に実験をしました。それは十分な栄養と清潔を保つが子供に語りかけたり身体的に接触することを禁じるというものでした。結果はショッキングなもので50人全員が1歳の誕生日を迎えることなくなくなりました。
 20世紀初頭のヨーロッパの乳幼児死亡率は75%にも達していました。この死亡率は設備と栄養の改善では低下させることができず、十分な愛撫を与えることにより17%にまで低下したといわれています。
 Harlow H.F.による猿を用いた研究では母親に抱かれる皮膚刺激、あるいはそれに代わる刺激がないと心の発育がうまくいかなくなると報告しています。
 Schanberg and Fieldは、心の発育に加えて身体の発育にも皮膚刺激は重要であるとし、皮膚への接触刺激は小児にとって重要であるばかりか一生を通じて心や身体の機能の調整に重要な役割を果たすと報告しています。
 傳田光洋氏や山口創氏が小児の皮膚への刺激がいかに重要か何冊も著書を出されていますのでご覧になってみてください。
● 子供の「脳」は肌にある [ 光文社、山口創著 ]
● 第三の脳 [ 朝日出版社、傳田光洋著 ]
● 賢い皮膚 [ 筑摩書房、傳田光洋著 ]


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小児鍼灸は何に効きますか?

 小児鍼灸は様々な症状の治療に用いられています。
疳の虫(夜泣き、かみつきなど)いわゆる小児神経症。
鼻炎、喉頭炎、扁桃炎、気管支喘息などの呼吸器疾患。
食欲不振、口内炎、便秘、下痢などの消化器疾患。
仮性近視、眼精疲労などの眼科疾患。
 夜尿症中耳炎風邪を引きやすいなど多岐にわたります。

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疳の虫って?

 疳虫とは特定の疾患・病名を指すのではなく3歳ぐらいまでの小児が引き起こす種々の症状に対する俗称です。そのために非常に大雑把なもので様々な症状が含まれています。
 主な症状は、夜泣き、寝つきが悪い、寝起きが悪い、夜驚症、寝とぼける、キーキー声を出す、よくケンカする、人に噛みつく、物を投げつける、頭を壁や床にぶつける、よく泣く、爪を噛む、駄々をこねる、人見知りをする、食思不振、食物の好き嫌いが多い、吐乳、嘔吐、腹痛、便秘、下痢、異味症、口内炎、遺尿症、よく風邪をひく、しばしば熱を出す、ひきつけ、チック、どもり、斜視、斜頸、自閉症、身体をかゆがる等々多彩な症状が含まれます。
 詳細は、別のページにて説明しておりますので、そちらをご覧ください。疳の虫とは?

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小児鍼灸を受けてはいけないときはありますか?

 高熱、急性腹症、急性脳脊髄炎、骨折、脱水を疑われる時はすぐに病院へ受診してください。

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何歳ぐらいから小児鍼灸を受けられますか?治療時間は?

 0歳児から施術することができます。
 大人の方だと当鍼灸院では約一時間治療をしますが、お子さんはもちろんそんなに長い時間じっとしていることはできません。お子さんに対する治療に要する時間は長くても10分程度の短時間です。治療にかかる時間が違いますので、予約の際は必ず小児鍼を希望している事を最初にお伝えください。
 一人でベッドに横になれる子はなっていただきますが、初めての時などはお子さんも心細く感じています。そのような時は保護者の方に抱っこしてもらった状態のまま治療を行います。慣れてきたらベッドに寝かせて治療するようになります。じっと横になれないからといって心配しないでください。

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小児鍼灸はどの程度の頻度で受けた方が良いでしょうか?

 症状等にもよりますが、お子さんの場合、最初はあまり間隔を空けずに治療を重ねた方が治りが早い傾向があります。
 ただ、保護者自身も忙しくされている事が多く、頻繁に受診することは難しい方がほとんどです。そのような際は、1週間に一度程度の頻度で治療を重ねることによっても十分治療効果を見込むことができます。
 『行かなくてはいけない!!』と思い詰めるとお子さんにも良くない影響を与えてしまうので負担の少ない範囲で個々決めていただいています。

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東洋医学を活用した親にもできる乳幼児の健康増進法はありますか?

 小児の健康法として様々な物がありますが、当鍼灸院ではスキンタッチ健康法を推奨しています。スキンタッチは鍼灸師が考えたもので家庭にあるものを活用して小児の健康の増進を図るものです。鍼の代わりにスプーンと歯ブラシ、灸の代わりにドライヤーを用います。
 スプーンを使って身体を優しくなでたり、歯ブラシで優しくトントンと叩いたり、ドライヤーで暖めたりします。
 所要時間は『年齢+1分』以内という短時間でできるお手軽な健康法です。0歳児なら1分以内、五歳なら6分以内です。短い分なら問題ありませんが、長く行うと逆効果なので必ず時間を守ってください。
 スキンタッチはあくまでも健康法です。治療ではありませんので気になる症状がはっきりとある時、いつもと様子が違う時は当鍼灸院などで小児鍼灸を受けるか、小児科を受診するようにしてください。
 詳しく知りたい方ははスキンタッチ教室に参加してみてください。下記のサイトに案内が掲載されています。
東京スキンタッチ会.com
 また、下記の書籍も参考にしてください。
● 毎日5分!親子スキンタッチ健康法 赤ちゃんから10歳までの対処法 ( 亜紀書房、大上勝行著)
《重要ポイント》
 時間は短めに行う。
 無理には行わず、子供が喜んで受けてくれるようにする。
 スキンタッチはあくまでも健康法です。いつもと様子が違うときは速めに専門家へ。


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